「温故創新」230429 N1206 伊波喜一

我慢して 最後の一瞬 力出し 忍耐するか 何のためにぞ

 気温は26度と高いが、湿度が低い。陽射しの割りに過ごしやすい。急な天候の変化に注意とあるが、にわかには信じがたい。

 仕事でも家庭でも、ここ一番という時がある。この時は一瞬で過ぎ去るようにも思えるが、その勝負時を計るのはなかなか難しい。

 勝敗自体は、一気に決まってしまう。そのため、周到な準備と根回し、衆議を集めて決する知恵が欠かせない。何よりも、異能の才を糾合出来るだけの度量が求められる。このことは、どの組織にも通ずることではなかろうか。

 庭のサクランボが、昨日より熟味を増している。色つやも赤みが増し、ぴかぴかと光沢を放っている。甘味も一段と増している。面白いことに、それまでは赤みにはなっていても、実がもぎれなかった。

 ところが熟した途端、ちょっと引っ張るだけで実がはがれる。ほんの僅かな力で、実を取ることが出来る。たかだか一日の違いでしかないが、その差は歴然である。

 サクランボは地中と太陽から栄養を取り込み、その極みにまで実を熟させる。冬の寒さに耐え、緑の葉を出し、実を付けて膨らませる。そして夏の暑さに葉を広げ初冬に散らすまで、栄養分を幹に蓄える。

物言わぬ樹木だが、自然の摂理を忘れず、我が身を開く時を違えない。

 人も同じ。自らの勝負時に日々備え、才を磨き、ここぞの時に生を燃焼させていきたい。