「温故創新」240425 N1415伊波喜一

偶然の 自然交配 新品種 神様からの 贈り物よと 

 水不足に悩んでいるが、ここのところの豪雨で少しは持ち直してくれるかと期待している。それにしてもスコールような激しさである。

 沖縄県本部町の備瀬公民館で24日、紅芋の新品種「サン紅(べに)」が発表された。

 農家の中曽根さんは元々、紅芋の「備瀬1号」を栽培していた。たまたま親戚からサツマイモの「おきひかり」をもらい、隣りの畝に植えていたところ自然交配した。農林水産省に品種登録を申請し、22年「サン紅」が登録された。

 その特徴として、甘味が強い、栄養素が多い、茎が細く葉っぱが小さい、病気に強いが挙げられる。種として生きのびる条件が、見事に揃っている。

 これから毎年、世界は大雨や猛暑、旱魃や火災、地震津波などの異常気象に襲われる。人間の欲望をコントロールしない限り、さらに予測不能な環境が生み出される。そんな時に一農家の発明は、世界の食糧事情に影響を与えかねないぐらい画期的な発明である。

 自然を相手にする農業では、近年の異常気象に翻弄されている。圧倒的な自然の猛威の前には、災害に耐え抜く強い種が必要となる。

 今回、偶然の重なりから生まれた「サン紅」が、どこまで悪天候に耐えられるだろうか。自然の猛威に淘汰されなければ、日本は元より世界の食糧事情に貢献することは、まず間違いないだろう。