「温故創新」201201 N603 伊波喜一

ご先祖の 喜ぶ顔が 目に浮かび 一年ぶりの 墓参終えるか     

 朝夕は寒いが、日中は長袖一枚でも過ごせる。海風が切れ目なく吹いている。 

 1年ぶりの墓参に出かけた。国道330号線を左に折れ、人家の間をくぐりぬけたその突き当りに墓はある。

 いつの間に生えたのか、太さ5cm程の雑木が正面出入り口を塞いでいる。今年はたまたま人手があったので、木を切ったり敷地内の落ち葉を掃いたりとスムーズに掃除を終えられた。 

 小高い丘の上からは、眼下に手入れされた畑が見える。傾斜地での農耕は、さぞ骨が折れるに違いない。

 遠くには高速道路の橋梁が、丘陵を背に等間隔に屹立している。日本の各地でも、同様の光景が広がっていることだろう。 

 地方に点在する墓は、先祖の歴史を背負っている。山間や海沿い、斜面に建てられている場合が少なくない。

 都会の管理された墓と異なり、自分たちの手で手入れをしなくてはならない。かつてはそれが暗黙の了解だった。 

 しかし、誰もが生まれ故郷で一生を過ごし、終えられる時代ではなくなっている。墓の維持・管理も難しくなって当然であろう。

 高齢化社会に突入した日本は、これから家仕舞いや墓仕舞いという現実に、直面する。

 早目に計画・決断し、状況に応じて実行することが必要となろう。

「温故創新」201127 N602 伊波喜一

大茶盛 回し飲みせず 一人碗 伝統行事 考慮し直す     

 日中は暑いが、夜半は風が吹きヒンヤリとする。薄着のままでいると、風邪を引いてしまう。 

 奈良市西大寺で大茶盛が行われた。従来は直径40cmの茶碗で回し飲みをするが、コロナ禍のため一人一碗で個別に飲んだ。参加者も60畳の和室に招待者が15人で、2m間隔で着席した。

 同じ器で茶を味わい、心を一つにする「一味和合」の精神を模索し、工夫した。 

 師走から新春にかけては、多くの伝統行事と初詣が行われる。

 例年だと、大勢の人手で大賑わいするところだ。今年はそれが出来ないため、祭りや参詣の規模を縮小したり、お守りの授与の次期を早めたりして対応している。

 1千年以上続いてきた行事もあり、伝統を絶やさないようそれぞれに工夫している。 

 伝統は化儀に支えられている。伝統の型には深い意味が込められている。化儀を忠実に再現しようとするのは、尊いことだ。

 しかし、伝統を追求しすぎるあまり化儀に拘ると、杓子定規になる。形式が先行し、窮屈になる。そこから、マンネリが始まり、崩れていく。 庶民の願いをどうつかみ、叶えていくのか。まさに各界の知恵と工夫が試されている。

 伝統に安住して自己改革出来ない組織も人も、淘汰されていく。

「温故創新」201126 N601 伊波喜一

若くして 家庭困窮 頼られて ヤングケアラー 対策急げと    

 コロナ禍で、1年ぶりの帰省となった。機内は満席だったが、室内換気を3分に1回行っているとのことだった。 

 埼玉県は県内の高校2年生を対象に、4万8261人の生活実態調査を行った。

 回答者の4・1%に当たる1969人が、ヤングケアラーに該当することが分かった。病気や介護支援が必要な家族がいて、その世話に18歳未満の生徒が携わっている。 

 アンケートでは、42%が生活に影響なしと回答している。

 一方、19%が孤独を感じる、10%が勉強時間が十分に取れない、8.7%が睡眠不足と答えている。学校を休みがちも、2.2%となっている。 

 ケアを始めた時期は、中学生からが35%、小学4~6年生からが20%で、成人前からケアに関わらざるを得ない実態が窺える。 

 ケアの頻度は毎日が35%で、その内訳は食事の用意を含む家事が58%を占める。 

 介護対象は祖父母・曽祖父母が37%、母24%で、本来身近である存在を頼れない。ケアの原因は病気が28%、衰弱が20%である。 

 自らが学びの途上にある未成年に、世話や介護は負担が重すぎる。 

 国は未成年児の生活とメンタルケアを支え、彼らの頑張りを後押しする制度を即刻、確立すべきである。

「温故創新」201124 N600 伊波喜一

愛着が 人間形成 基礎となる 3つのH 心がけなん    

 イチョウが葉を散らしている。公園では幼児が遊んでいる。夢中になって遊んでいる姿を見るのは、楽しい。 

 児童虐待が止まない。虐待を受けると、過度のストレスによって成長ホルモンが抑制される。そのため体が大きくならなかったり、脳が委縮して言葉や知能の発達が遅れたりする。

 これを機能的冬眠と言い、生きるために最低限度の機能を働かせる。 

 しかし、子どもには回復する力がある。そのキーワードが愛着である。愛着を土台にして、自尊心が育まれ、レジリエンス(回復力)が高まる。 

 反対に自己肯定感を持てないと、環境に左右される。常に他者と自己を比べ、勝他の念(相手に勝ろうとする)に駆られる。

 そうなると、今あることに満足することが出来ない。この傾向性が修羅を現ずる。人と比べて生きる生き方は、不幸である。 

 本来、子どもは想を膨らませ創造していくことが好きだ。

 その自発性や興味を伸ばすには、3つのHが効果的だと言われている。褒める励ます・(視野を)広げるの3つである。

 何か特別なものを与えるのではない。子ども目線でそのつぶやきに耳を傾け、同感し同苦する。

 平凡なこの積み重ねの中にこそ、子どもの未来を拓くカギがあるののではないだろうか。

「温故創新」201123 N599 伊波喜一

コロナ禍で 政治の役割 見直され 庶民目線の 守り手たらん    

 この時期、掃いても掃いても落ちてくる落ち葉。風がある今朝も、はらりと舞っている。

 幹に明年の栄養を蓄えると、葉は静かに散りゆく。まるで、自らの使命を知っているかのようだ。つくづく、見事である。 

 一人っ子政策を取った中国では、高齢化した親の面倒を見ることが、困難な状態にある。健康保険制度や年金制度が確立していないことも、親の介護に拍車をかけている。

 日本も同様に、少子高齢化に突入している。共働きが普通になってきた時に起きたコロナ禍は、出生率にも大きく影響する。 

 そんな中、特定不妊治療について、与党は助成の増額や所得制限の緩和を推進している。不妊治療は保健適応外で高額なため、相応の収入がないと治療を受けることが出来ない。

 現在、夫婦合算の年間所得が730万円であれば、1回15万円を上限に通算3~6回助成を受けられる。政府は上限や所得について、さらに引き上げることを提案している。 

 このような視点で生活を見直してゆくと、政治に関係し直結する事柄は余りにも多い。

 医療と次世代とを関連付けて守り・保護することは、国の未来を左右する。そのためにも政治の空白を無くし、実務に徹する国づくりを目指してゆきたい。

「温故創新」201122 N598 伊波喜一

TPP 参加の意思を 示すかな 中国主席 発言波紋    

 一転、今朝は空気が冷たい。例年の寒さに戻りつつある。枯れ葉が道端に積もり始めている。 

 習近平中国国家主席は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、環太平洋連携協定(TPP)へ加入する意思を表明した。習主席がTPPへの参加を表明したのは、初めてである。 

 日中韓東南アジア諸国連合ASEAN)など15カ国は、地域的な包括的経済連携(RCEP)に合意したばかりである。TPP、RCEPともに米国は入っておらず、中国は巨大経済圏で主導権を握りたいと考えているようだ。 

 習氏は多国間貿易体制の支持を表明し、自由で開放的な貿易と投資を促進するとしている。

 一方の米国は選挙の公正をめぐり、国内世論が2つに分かれている。政権交代がままならず、対立と不信、憎悪と分断がのしかかっている。今の状態では国内を治めることさえ、ままならない。とても世界の覇者たることなど出来ない。その間隙を縫って、巧みに周氏に主導権を取られた格好だ。 

 世界第1の人口と第2位の経済力を擁する中国が本気になれば、周辺諸国はなびかざるを得ない。 

 日本は、今こそ平和外交を軸に、周辺諸国のまとめ役とならなければならないだろう。

「温故創新」201121 N597 伊波喜一

洋上の 風力使い 発電の 拡大狙う EU戦略  

 南風が吹きつける。空気が乾燥しているため、畑の土も舞い上がる。しばらく雨も降らないとのことだ。 

 EU欧州委員会は海洋再生可能エネルギー戦略を発表し、2050年の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を示した。

 それによると、現在1200万kWの洋上風力発電の能力を、30年までに5倍の6千万kWにする。50年までには、25倍の3億kWにする。 

 潮力発電や海に浮かぶ太陽光発電などの開発や商業化にも、力を入れる。これには、50年までに民間資金を中心に、8千億ユーロ(約98兆円)近い投資を必要とする。

 世界の洋上風力発電能力の40%は、EU海域に存在する。

 日本政府も洋上風力発電能力を30年までに1千万kW、40年までに3千万kWに増やす考えを示している。 

 これまでは大量投資・大量生産・大量移動・大量生産が、当たり前のように行われてきた。

 石油・石炭・ガスなど、有限である資源を使い放題使い、害をまき散らしてきた。

 しかし、地球の生態系を壊すとそれが人類にはね返ってくることに、遅まきながら気づかされた。コロナ禍はその動きに拍車をかけた。 

 環境や人道、医療や教育改革など、取り組むべき課題は多い。