「温故創新」241201 N1564 伊波喜一

世界初 SNSを 禁止せん 悪影響を 未然に防ぐと      

 あれだけ落ちていた木の葉も、やっと収まってきた。風に吹き寄せられて、駐車場の隅にはフワフワした埃が溜まってくる。空気が乾燥しているせいか、喉がイガイガする。小まめな水分摂取が必要だ。 

 オーストラリア議会上院は、16歳未満の子どもがSNSを使えないようにする法案を賛成多数で可決した。連邦総督の裁可を経て、近く成立する。国家レベルで子どものSNS利用を禁じるのは、世界初となる。保護者の同意があっても、認めないとしている。

 違反業者に対しても、最大4950万豪㌦(約50億円)の制裁金を科すとしている。政府の本気度が伝わってくる。 

 日本の学校教育では情報リテラシーなど、情報についての基礎知識とマナーなどを教えている。ただ、現今の情報洪水の中では、情報の海に溺れてしまいがちとなる。

 何と言っても、SNS上の情報は生々しく、刺激的である。そのため、青少年の理解や判断能力を超えた事件や戦争などの残虐さは、青少年の心に無数の傷を負わせてしまう。そして、青年期に至るまでのトラウマは、深い傷となって子どもの生涯に及びかねない。

 今回豪州政府がこのような決断をした事は、豪州の将来を開き、希望を灯す因となろう。国家の体系と言えど、人材育成に勝るものはない。それこそ、百年の計である。豪州政治の倫理観や目的、そして民衆のモラルや教育観を、日本は是非とも見習ってゆきたい。

「温故創新」241130 N1563 伊波喜一

健康で あること普段 意識せず 転ばぬ先の ホームドクター       

 夏が続くかと思いきや、沖縄はいきなり冬に変わってしまった。一日中風が吹いているので、体感ではさらに数度低く感じる。まさか南国で暖房を焚くとは、思いもよらなかった。

 4月に東京から持ってきた衣服は、夏用がほとんどである。暖かいフリースや裏起毛の肌着がないので、とにかく寒い。体が冷えて仕方ない。シャワーを浴びたのが運の尽きで、風邪気味となってしまった。

 空咳も続いていたので、嘉数医院にかかった。元々アレルギー体質な上に、小学校までは小児喘息にも苦しめられた。免疫力が落ちると出てくるので、それかなと思っていた。

 診察してもらうと、鼻炎は相当ひどい。左側の鼻が完全に詰まっていて、寝ている時にいびきをかいているらしい。実際には、鼻で呼吸できないので口を開けて息をしている。道理で、喉が痛いわけである。 

 おまけに、庭仕事で蚊取り線香を焚いているが、これが良くない。土埃も吸い込んでいるので、肺の機能が落ちてくる。

 これまでは、そういうことを気にせずやってきた。が、これからの人生を健康で生き切るには、日頃の健康小事を疎かにせずやっていかなくてはならない。

 当然のことであるが、健康であるためには良質な睡眠とバランスのとれた食事、適度な運動が欠かせない。加えて、良き医者に出会うことが大事である。そのことを、痛感させられた。

「温故創新」241127 N1562 伊波喜一

原発の 代わりになるか 発想の 次世代電池 処分も視野に      

 朝から空気が乾いている。窓から吹き込む風が冷たい。掃除をしていても汗をかかず、陽を浴びるのが心地良い。全く様変わりである。 

 経済産業省は2040年に、原発20基分に相当する20kWを賄うことを目標にしている。薄くて軽く、折り曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」を、普及させる算段をしている。

 これは従来は難しかったビルなどの壁面にも、設置可能となる。脱炭素社会の実現に向けて、次世代技術の導入を支援し、再生可能エネルギーの拡大を目指している。

 課題は従来の太陽光パネルに比べ、発電コストがかかることである。そのため、25年度から当面の間、費用の一部を負担するとしている。 

 これだけ太陽光に恵まれている日本には、うってつけの施策と映る。蓄電をすれば、相当なエネルギーを賄える。

 ただ、太陽電池を廃棄する際の計画が肝心である。耐用年数がきて処分をする際、分解できずにそのままゴミとして放置したのでは元も子もない。きちんと分解・処理し、自然に無害の状態にしていけなければ、それこそ資源の浪費と環境汚染につながりかねない。

 開発の青写真の中には、処分に要する時間と手間と費用、何よりも安全性について具体的に盛り込む必要がある。大規模で大量の資源を必要とするだけに、有識者会議の知見を国民に公表し、衆議を求めてゆくことが欠かせない。

「温故創新」241126 N1561 伊波喜一

公費初 PFAS検査 岡山で 健康被害 追跡調査      

 南から吹いていた風のせいで、朝から生暖かい。そのうち北風に変わり、雨混じりの突風が吹いた。急変とはこのことである。庭いじりをしていると、常緑樹が多いせいか毛虫が多い。4種類を見かける。

 蚊もいつまでも纏わりついてくる。そのせいで、蚊取り線香を切らしたことがない。いくら水たまりがあるからと言って、12月になろうとするのにである。 ソテツは新芽を出している。そこに小白蝶がやってきて卵を産みつけ、新芽を食い荒らす。それを防ぐには、網を被せる以外にない。 雑草を取るために土を掘り起こしていると、カタツムリが殻を閉じて埋まっている。木の根や葉を食いつくすので、取り除く以外にない。これがなかなかしぶとい上に、数が多すぎる。枝を這い上がる特性を逆手にとって、棒状に毒を塗った撃退薬がある。ところが、沖縄ではそれが見つからない。試してみたいのだが・・・。

 発がん性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)が、全国で検出されている。高濃度の値で検出された岡山県吉備中央町では、住民ら800人を対象に、公費による血液検査を開始した。

 検査を巡っては、血中濃度健康被害の関係性が不明として、国は慎重な姿勢をとっている。ここは自治体が主体となって、国に先んじた結果となっている。5年後も継続検査をすると、町長は話している。

 これは本来、国がやるべきことである。同時に、PFASを使用している企業や米軍施設に、その費用負担を求めるべきであろう。

「温故創新」241125 N1560 伊波喜一

環境に 優しいプラの 開発に 海洋汚染 取り組み必死      

 11月も下旬に入り、風が涼しい。庭作業には打ってつけである。朝夕は20℃前後になるが、風が抜けるので寒く感じる。ダウンやマフラーは不要だと思っていたが、どうも認識不足だったようだ。

 理研と東大の合同研究チームが、海水などで容易に分解される無色透明で板状の「超分子プラスチック」を開発したと、米科学誌サイエンスに発表した。

 これは食品添加物と生体内にある物質からの化合物を、原材料としている。強度や加工性は従来のプラスチックと同程度あり、建築用にも用途が広がると期待されている。

 塩を含む海水などに触れると、速やかに化学物質が変化して原料に戻る。原料は再利用可能で、海や土の中ではバクテリアなどによって、さらに分解されるそうだ。

 現今のマイクロプラスチックは生活排水から水に溶けだして、環境を汚染している。沖縄のサンゴ礁もプラスチックが付着して呼吸が出来ず、死滅している。目にも見えず触れても分からず、確実に環境を蝕んでいる。まさに、負の遺産と化している。

 超分子プラスチックの開発により、その弊害を克服できれば、衣食住における大革命となろう。世界的規模での経済効果が期待される。

 初期投資には予算がかかるが、「SDGs調整金」などの名目で世界規模の支援を期待したい。成果を心待ちにしている。

「温故創新」241121 N1558 伊波喜一

受けとめて 自己肯定を 高めゆく オレンジリボン 親のあり方      

 曇天で風がひんやりとする。湿度はあるものの、風が心地良い。沖縄にも、やっと冬がやって来たようだ。陽射しを温かく感じる。

 毎年11月は、こども家庭庁の「オレンジリボン」月間である。児童の虐待防止を推進している。

 22年度児童相談所への虐待通告数は、21万5千件弱を数えた。身体的虐待、ネグレクト、性的虐待心理的虐待と続くが、心理的虐待が半数以上の13万弱を占めている。その心理的虐待の中でも、言葉による虐待には2つの悪影響が見られる。  

 1つは、自己肯定感が低くなることである。経験値が少なく規範意識が育っていない子どもにとり、自己を否定されることほど自信を失うことはない。2つは、自己が育たないことである。自分に自信が持てず、自我が築けない。この影響は学業は元より、社会生活や将来の家庭生活を営む上でも齟齬をきたす。 

 今の世の中は、行動で示すことが中心となっている。自己をアピールして注目を浴び、存在意義を見い出す。換言すると、発言力がない者には価値を認めない社会である。 

 対極にあるのは、存在そのものの肯定である。例えば、赤ん坊や年寄りは自力では何も出来ない。だが、そこにいるだけで、あるだけで癒される。存在そのものに価値がある。

 行為と存在のどちらをも尊ぶことが、子どもを育んでゆく。

「温故創新」241124 N1559 伊波喜一

意外にも 価値観どこに 国の安定と 混乱の世は 何を頼りに      

 屋敷回りの側溝を、繰り返し掃いた。不在にしていた7年間分の泥や苔がへばり付いていて、結構な力がいった。薄めたカルキを流して、仕上げをした。全く、家回りの仕事はいくらやってもきりがない。 

 円安や物価高で、各家庭の台所事情には厳しいものがある。これで給料が右肩上がりなら良いが、雇用者にとっては頭の痛いところである。現在はほとんどの業種で、人手不足・人材不足となっている。事業を継続し拡大しようにも、肝心の働き手が集まらないことには先へ進めない。

 そのような事情から、外国人労働者を雇い入れている。その外国人達は、一体なぜ日本を選んだのだろうか。

 長期雇用の文化や給与に引かれては、理解できるところだ。が、その一番の理由に挙げられたのは、日本文化やカルチャーに触れたいである。日本人が気づいていない価値に、外国人が気づいているということか。他にも、治安や生活環境の良さを挙げている。

 知人に米兵の家族がいる。以前、テキサス州に住んでいたが、用心のために家庭に銃を置いていたそうだ。夜間のジョギングなどは危険で、出来なかった。ところが、沖縄ではそれが出来る。世界中が殺伐としている中で、これほど素晴らしいことはないと話している。

 地域社会に目を向けなければ、安全は築けない。先人達が積み上げてきた努力に、日本人は目を向けるべきだと実感する。