「温故創新」231127 N1332 伊波喜一

情報の 質と精度を 磨き抜く 外交戦略 インテリジェンス          

 自転車でぶらりと立川まで出て、書店に入る。小川和久著「メディアが報じない戦争のリアル」他、2点購入した。読むのが楽しみだ。

 今朝の報道では、全国の至る所の港湾や空港を、自衛隊海上保安庁が共同運用出来るように整備する方向性を示した。中国・北朝鮮脅威論に拍車をかけ、両国とロシアに対して軍事対抗措置を講じようとしているように見えなくもない。

 ロシアのウクライナ侵攻では、当初、2~3日で片が付くとロシアは思っていた。ところが、実際には1年9カ月が過ぎようとしている。 

 その原因は、ロシアの兵站(ロジスティック)にある。補給物資と補給路が確保出来なければ、戦争を継続することは出来ない。だが、その点の分析は、ついぞ日本国内からは出て来なかった。 

 一方、中国脅威論でも、兵站が語られていない。陸路でさえ、ロシアは長期戦に持ち込まれている。海を隔てた侵攻がどれだけ大変か、第二次世界大戦で日本が失敗した戦略を見れば、明らかだろう。

 兵站の確保だけでも大変な上に、補給路の確保や台湾・沖縄本土への上陸適地を探らなくてはならない。原子爆弾のように悲惨な破壊兵器を使用するのでない限り、敵を殲滅するのは夢物語に過ぎない。

 国内には脅威論をぶち上げて兵器を拡充しようとする動きがある。が、今やるべきことは、戦後78年間、日本が築いてきた平和外交とその路線の継続である。短兵急な軍備配置は、その大元を狂わせる。

「温故創新」231123 N1331 伊波喜一

オフロード 魅力あるかと コマーシャル 環境・人権 意識鈍化し          

 初冬の空に、雲が流れている。空気が乾燥して、鼻の奥まで乾く。

 英国の広告規制団体の「広告基準協議会(ASA)」は22日、トヨタ自動車の荷台付きスポーツタイプ多目的車(SUV)の2件の広告について、「環境への影響を無視した運転を容認している」として、英国での広告を禁止すると発表した。

 ASAは「環境への悪影響を与えているにもかかわらず、オフロード走行を奨励している」とし、「社会に対する責任が欠如している」と手厳しい。一方、トヨタ側は「映像は許可を得て、英国以外の海外の私有地で撮影しており、生態学的に影響を受けにくい環境である」と反論している。また「ポスターはCGを使っており、環境への影響はない」と訴えている。両者の言い分は、真っ向から対立している。

 確かにトヨタの言うように、環境への直接の影響は少ないかも知れない。しかし、私有地でSUVを乗り回せる人が、どれだけいるだろうか。私有地以外でオフロードを乗るとなると、環境破壊への影響は大きい。そして、コマーシャルが深層心理に訴える影響は、これまた大きい。たとえ私有地で乗れなくても、公有地で乗りたくなる。その影響の大きさを考える時、ASAが広告を禁じた意味合いが理解されることだろう。

 環境の大切さや民衆の善性は、お金には換算できない。物事の是非が通らない社会や運動は、衰退の一途を辿っていくのみである。

「温故創新」231120 N1330 伊波喜一

 10年の 計で現実 変えてゆく 教育投資 ベーシックインカム          

 失われた平成の30年から6年経った。希望はまだ見えない。

 来年半ばには、金利が上がりそうだ。1989年12月、日経平均株価が史上最高値の3万8915円を記録した。日本の国際競争力もその後4年間トップを占め、自信満々な時期であった。それが今では35位にまで転落した。その原因にはいくつかある。

 1つ目は95年に日経連が提唱した「新時代の日本的経営」である。パート、契約社員派遣労働者といった「非正規雇用」を作り出した。今ではそれが2千万にものぼり、4割近くに達する。2つ目は消費税を上げたことだ。多くの人が物価高で困窮している。 英国は消費税20%とべらぼうに高い、だが、食料品には0%である。エンゲル係数は、低所得者ほど実害を被るからだ。3つ目に教育費の負担が大きすぎる。大学まで出そうと思ったら、家1軒分の費用がかかる。誇張でなく、筆者の実体験からそう言える。塾代から教材費、習い事、授業料と、いくらお金があっても足りない。 

 これらを解決するには、現行の制度を見直さなくてはならない。高齢者の高額医療を見直し、教育費に充てる。全所帯に7万円のバーシックインカムを配り、生活費の一部とする。財源は企業が内部留保しているお金や国が発行している国債の利益から、100兆円ほど頂戴して、国民に還元すればいい。そのような努力をすれば、国民の生活は徐々に安定し、良くなっていく。やり様は、いくらでもあるのだ。

「温故創新」231120 N1329 伊波喜一

半世紀 自身の歩み 師と共に 思い出一つ 在りし日浮かび          

 池田先生の創作活動一つとっても、小説、対談、童話、エッセイ、提言、講演と、八面六臂という表現ではとても追いつかない。

 例えば対談集も国内だけでなく、世界の超一流人と対談し触発している。東洋の叡智を根底に、宗教や民族、人種を超えて止揚しているところに桁違いの知性を感じさせる。これらはマクロ的な活動である。

 それだけでも、他の追従を許さないが、先生の卓越した境涯はそこに留まらない。大地を踏みしめるこの足元を、限りなく見つめるところにある。生老病死に直面した一人ひとりに平等に対し、それこそ渾身の力を振り絞って励まし、蘇生させ、笑顔にさせてきた。

 あの東日本大震災で亡くなった方々への励ましでも、「臨終の姿がどうあれ、生前のその人の行為は決して色褪せない。残されたものの祈りで、必ず救われていく」と、渾身のメッセージを寄せた。

 また苦悩のどん底にある人には「希望が無ければ、自ら希望を作るんだ」と励ました。どんな苦境にあっても、自ら希望を創り出し、価値創造していく。このような指導者が、一体どこにあるだろうか。

 世間を見ても、自利に走ることなく利他を優先して生きることは、容易ではない。ましてや若い頃は志を保てても、その姿勢のまま最晩年まで走り続けることが、いかに困難なことか、審判は厳しい。

 利他に徹し、接するものを笑顔にする達人の先生。先生と同時代を生きられたことに、限りない誇りと喜びを感じている。

「温故創新」231119 N1328 伊波喜一

励ましを 一人一人に 温顔の 巨星墜つかな 在りし日思いて       

 学会創立記念日の18日前後は、各地で賑やかに座談会が開かれた。

 15日、創価学会第三代会長池田大作先生が、新宿のご自宅で亡くなられた。享年95歳。若い頃に結核を患い、丈夫でない体で激闘の人生を歩まれた。先生の事績を辿る時、「1人の偉大な人間革命は、やがて1国の宿命転換をも成し遂げる」の一節が思い浮かぶ。

 第2代会長戸田城聖先生亡き後、若干32歳の若さで会長に就任して以来、国内と海外の基盤を整えた。それまで折伏一本だった活動を、政治・文化・芸術・教育・平和へと多元的に展開した。

 公明党の創立、民主音楽協会・富士美術館・東洋哲学研究所、幼稚園から大学の創立と、国内だけでも相当な内容である。これに海外での幼稚園や高校、短大、アメリカへの大学設置などが加わる。

 海外メンバー(SGI)も192カ国・地域にまで広がり、300万人が信仰を始めている。中には韓国や台湾のように日本の旧植民地だったところで、反日感情の残っている国もあった。

 また、ブラジルなど軍事政権下では、政権転覆を意図する危険団体として、当局の監視下にあった。それが今では、国家からの顕彰が相次いでいる。それは先生の根底にある理性と感情を包含した常識的な考えと振る舞いについて、当局が理解したことが大きい。

 指導の根幹となる「御書」(日蓮の教え)を、英語、スペイン語、中国語など言語に翻訳したことで、現地での理解が高まった。 

「温故創新」231118 N1327 伊波喜一

出国の 日重なりて 偶然の 不思議なるかな 創立の日      

 成田の朝は曇天で、風が強い。無数の枯れ葉が風に吹き飛んでいる。

 約1ト月、日本に滞在した娘親子が、メキシコ経由でコスタリカに戻る。フライトと空港滞在時間などを加えると、30数時間にもなる。

 1歳の子を連れての長旅だけに、機中での過ごし方が気懸りである。前日までに荷作りと荷出しで、てんてこ舞いだった。昨夜は空港近くのホテルに泊まり、これからの長旅に備えた。

 ホテルの朝食は和洋取り揃えられていて、これが日本での最後の食事となる。孫は昨夜大泣きし、寝不足のためか食欲がない。胸が痛む。 

 この1ト月、娘達が動きやすいように孫を預かった。先ずは怪我をさせないこと、次に食事をしっかり摂らせて、栄養の過不足がないようにすることだ。少しでも栄養価の高いものをと、上さんが献立を工夫していた。

 孫は鉄分が少し不足しているとのことで、ホウレンソウや鉄分入りチーズなど、少しでも摂れるようにした。便秘気味でもあるので、水分を細目に摂らせた。かつおだしにご飯などを混ぜると、よく食べる。

 この間、ハイハイからつかまり立ちし、片時も目が離せない。また手の動きで意思を示したり、喃語も言葉のようなものを発するようになった。相当に脳が働いているように見える(じじ馬鹿だが)。

 娘達がはるばる日本まで会いに来てくれ、孫とじっくり関われた。有り難いの一言に尽きる。道中の無事故を、ただただ祈った。

「温故創新」231114 N1326 伊波喜一

立ちづくし あっという間に 時間経ち 家事労働の 対価凄まじ      

 円相場が、1ドル=152円となった。90年代以来の円安である。

 娘達が京都観光から戻ってくるので、迎える準備をした。各部屋のクリーナーがけから布団干し、洗濯を先に済ませておいた。国分寺駅に迎えに行き、そのまま自宅へ直行するので、風呂を溜め、リラックス出来るようにしておく。

 乳児を連れての食事は、大変である。コンビニでの買い出しも多くなるが、それでは野菜不足になる。そこで、手っ取り早く栄養を摂れるカレーにした。冷蔵庫の中身を確かめて、材料がダブらないよう買い物に出かける。買い物は、1カ所で済ませる。

 カレーには玉ねぎ、ジャガイモ、人参のほかに、葉野菜も混ぜた。豚肉は人数×1.5倍分入れて、たんぱく質をたっぷり取れるようにした。サラダもトマトをふんだんに入れ、疲労回復するようにした。料理1つとっても、買い物や食器並べ、調理、洗い物と、時間がいくらあっても足りないぐらいだ。

 先般、物議を醸した自民党埼玉県議団の面々は、家事などを普段からしているだろうか。していたら、あのような発言は出る筈がない。

家事や育児には膨大な手間と時間、そして人手がかかることを体感していないからこその弁と、言わざるを得ない。

 家庭生活が成り立つには、家庭以外からのサポートが必要である。そのことに気づけない体質の組織は、自己崩壊するのみである。