「温故創新」220529 N1043 伊波喜一

待つことの 大切さ知る 人は皆 聞いてもらうと 力湧き出る    

 朝晩の風が心地良い。日中の蒸し暑さとは裏腹に、寒いぐらいだ。ここのところ雨が多かったせいだろうか、草木の伸びが著しい。

 20数年前に今の家に越してきた時は、木を植えたばかりだったので、夏の直射日光がきつかった。木といってもサクランボの苗木で、ひょろっとして今にも枯れるのではないかと思うような心細さだった。

 一方の楓も苗木から植えたもので、伸びるかどうかさえ疑わしかった。ましてや枝を広げるなどとは、想像もしていなかった。

 植えて3年ほどは背も伸びず枝も張らずで、水やりが日課のようなものだった。そこで東側と南側に簾(すだれ)をかけ、陽が差し込むのを防いでいた。

 ところが10年ほどして、東側のサクランボが枝を茂らせるようになった。枝も広がり葉がつくようになった。南側の楓も枝を広げ、葉が細かくついてきた。これら無数の葉たちが、陽の眩しさをやさしく遮ってくれるようになり、簾も不要となった。

 木は手入れが要る。虫はつくし、葉は落ちる。もちろん、肥料も必要だ。何といっても、木は1日や2日で育つものではない。だから、焦らず気長に、マメに手入れを怠らないことが肝要だ。

 いわんや人は、さらに遅咲きである。育ちきるのを待ちきれずにちょっかいを出したのでは、伸びる芽も摘んでしまう結果となる。

 現代人の心すべきことでは、なかろうか。