「温故創新」220530 N1044 伊波喜一

根を張って ひこばえ這わせ 種を残す 生存欲求 命の習い    

 サクランボのひこばえが伸びきっていたので、刈り取った。ついこの前まではそれほど目立った様子もなかったが、長雨とカンカン照りで急に伸びたもののようだ。

 それにしても、樹木の根の張り具合いには驚くばかりである。わずかな庭の敷地に根を延ばし、それががっちり地面に食いこんでいる。この分だと、家の周りに根を張り巡らしているのかも知れない。

 その張り出した根から、ひこばえも出始めている。樹木の逞しさには、驚くばかりだ。

 自然界では常識だが、種は保存を是としている。ひとたび地上に降ろされた種は、自らの力で生きていくしかない。自らの力を120%以上絞りだして、生き抜こうとする。

 だから、利用出来るものはとことん利用し、生存に全知を賭ける。ましてや動けぬ樹木に至っては、ワンチャンスを生かせるかどうかは、自らの生に直結する。

 利用というと、打算の匂いがするかも知れない。しかし自然界で生きのびるには、それぐらい逞しくなくては生き抜けまい。

 現代は乱世である。皆生きていくのに、懸命の努力を続けている。他を恃まず、自らの力を最大限に発揮する。そこに微かな曙光が差す。

 そのチャンスを生かせるかどうかは、自らの意志と努力による。諦めの気持ちに打ち克ち、自身を鼓舞していきたい。