「温故創新」220703 N1071 伊波喜一

植物の 生存戦略 したたかに 今いるところで 根(ね)張り続けん

 台風4号が本土に向かっている。そのせいか、蒸し暑くてたまらない。今日で65歳になった。フルに近い状態で動ける実年齢を考えると、終活も含めた諸準備に取りかからなくては間に合わない。

 自ら動くことの出来ない植物たちは、一体どのように病原菌を避けるのだろうか。面白いことに、植物たちは積極的に良い菌類、細菌、ウイルスと共存してきた。

 菌根菌は、陸上植物種のおよそ90%の根に生息する。近年の研究では、植物の側が根っこからホルモン物質を出し、菌根菌との共生を促していることが分かった。

 それでも、植物自体の根だけでは栄養が不足してしまう。そこで、菌根菌が菌糸のネットワークを広げて土壌から栄養を吸い上げ、植物に行き渡らせている。

 また、菌糸が樹木同士をつなぎ、周囲の木々を守り合うネットワークも形成している。さらに、ウイルスが植物病原菌に感染して菌の病原性を弱め、植物の病気を減らした例もある。

 これらのことは、人が生きる上での参考になる。人類の誕生は、たかだか700万年前。一方の陸上植物は、5億年前に出現した。生態系を壊さず生き延びられてきたのは、共存共栄できたからである。

 ヒトは愚かにも、自他彼此の心で生きようとする。分断や差別からは何も生まれて来ないことに、そろそろ気づくべきではなかろうか。