「温故創新」200603 N445 伊波喜一

人類と ウイルス共存 昔から 人知の驕り 警鐘たらんや     

 通勤電車の窓外から、トウモロコシが植わっているのが見える。丈は50~60センチであろうか。浅緑の葉が瑞々しい。

  その葉が幾重にも広がっている。これから夏の暑さをくぐりぬけ、9月の収穫期を迎える。豊穣の実が楽しみだ。 

 抗生物質は殺菌・滅菌に力を発揮する。近代細菌学は、菌を叩くことを主眼としている。そのために、ワクチンの開発をしてきた。ただし、新型コロナウイルスのように、突然変異することがある。そうなると、さらに新しいワクチンが必要となる。 

 話題となっている腸内細胞。この細胞は抗生物質を多用・乱用すると、息も絶え絶えになってしまう。

 本来、人間の体内には100兆個もの細菌が潜んでいると言われている。その中で悪さをして病気を引き起こすのは、0.1%しかいない。別の言い方をすればその他の99.9%は、人類にとって必要だから生き残り続けていると言える。

 同様に、コロナウイルスも集団免疫が獲得できれば、やがて収束に向かう。つまるところ、ウイルスをやっつけるという発想よりも、共存し、その特質を生かす方向へ舵をとっていくしかない。

 今、世界中で不信と差別、分断が起こっている。賢いはずのヒトは、自らが自らを破壊している。 

 ウイルスの知恵に学ぶ時ではないだろうか。