「温故創新」220702 N1070 伊波喜一

ウイルスと 人と植物 共存の 悪戦苦闘 共存共栄

 東京は35度以上の猛暑日が、連続8日も続いている。記録を更新中とのことだ。お陰様で、ブルーベリーの実が色づき始めている。ただ、まだ時期相応ではないようで、実は酸っぱい。

 私達の体内は細胞内で作られたタンパク質をもとに、敵か味方かを判断する。敵であれば、その動きを抑えるための物質などを作って、戦闘態勢を整える免疫系がある。実は、植物にも似たような働きがある。つまり、外敵を識別して、排除する働きである。

 ところが近年の研究で、人や植物とウイルスとは排除するだけでなく、遺伝情報をやりとしながら、互いの生命を一体的に進化させてきたことが分かった。

 例えば、哺乳類の祖先には、もともと胎盤を形成する遺伝子はなかった。ところが「レトロウイルス」のお陰で、人は胎盤を得た。つまり、レトロウイルスに感染することで、人は胎盤という安全地帯で丈夫に子どもを育てることが出来たわけだ。

 植物の光合成も同様に、太陽エネルギーを取り入れて二酸化炭素と水から有機物を作り、酸素を吐き出している。

 このように細菌は悪い面だけではなく、人や植物の進化を助けてきた。共存することで、共栄してきたのだ。

 人や植物とウイルスとの歩み寄りが、進化という副産物を生み出したのは面白い。