「温故創新」200720 N488 伊波喜一

過ぎたるは 害になること 分からずに 除菌滅菌 共存忘れて   

 朝から蒸し暑い。この陽射しを受けて、葉野菜が青々としている。一方で、根菜のジャガイモの育ちが悪いのが気になる。すべからく、作物には十分な日照時間が戻ることが一番だ。

 ラジオを聞いていると、腸内細菌の話をしていた。それによると、生まれてから6か月以内に抗生物質を使うと、アレルギーが出てくる。

 その抗生物質で腸内細菌を洗い流してしまうと、免疫体系が確立されなくなる。それだけではなく、精神的にも身体的にも、不安定な状態になるらしい。 

 人間は動物や虫類、多様な植物と共存しながら生きてきた。細菌も同様で、人間は抗原に接して生きてきた。 

 筆者の家では、小屋で鶏を飼っていた。当時、卵は貴重な蛋白源だった。当然ながら、鳥小屋には羽毛が舞い、糞が流れ出る。その中で掃除をし、卵を集める。

 かなり雑菌が多い環境だったと思うが、何らかの抵抗力がついたのだろう。軽い鼻炎程度で今日まで来ている。

 当時は上下水道も完備しておらず、衛生状態も悪かった。が、それは半世紀以上前の日本では、ごく普通に見られる光景だった。 

 今、私達は除菌された世界を目指している。

 最低限の除菌や滅菌は必要だが、薬がそうであるように、過ぎたるはかえって毒になることを忘れてはなるまい。