「温故創新」210325 N706 伊波喜一

先駆けて 気持ち明るく する桜 時を知りたる リズム忘れず            

 早稲田通り公園の桜が満開である。ついこの前までは蕾が開き始めたばかりだったが、いつの間にこんなに開花したのだろう。

 大雨や大風に耐え、万朶の花を咲かせている。 

 桜は大木だが案外、病害虫に弱い。大樹に育て上げるには、工夫がいる。その工夫として、桜の樹皮に苔を生やさせないことがある。表面に苔が生えると、生命力が衰える。 

 桜は根っこで呼吸するので、根元の手入れを怠らないことも大事だ。

 また伐ってもすぐに生えてくるが、伸び先が塞がれると新しい枝が十分に伸びていかない。だから、伸びる道筋をつけておくことが欠かせない。 

 以前、庭師が伐っているのを見たが、伐ればいいと思うのは残し、ちょこんと枝を落としているだけにしか見えなかった。

 今考えると、枝が伸びる先を見据えて伐らなかったに違いない。同時に、新枝の伸びていく道を防ぐ枝は、たとえ少量であろうと伐ったのだ。 

 南は沖縄から、東京、東北、そして北海道と桜は北上している。

 環境が整ったから、咲くのではない。雨風や気圧という逆風に向かって歩みを止めないから、桜前線というのだ。

 人も同じ。多少の困難は想定済みである。桜の勢いに負けることなく自らの心に挑戦してゆきたい。