山桃の 便り懐かし 遠い日の 昔話に 祖母の温もり
今週は毎日、雨が降っている。先日、実家の庭の山桃が届いた。しばらく剪定をしていなかったためか、3年ぶりに実が生った。
それにしても、実の色鮮やかさには目を奪われた。真っ赤に熟したものから桃色、黄色がかったものまで、色とりどりである。
大きいものは直径2cmはあろうかと思うぐらいで、肉付きも厚く立派だ。
味の方も熟したものは甘酸っぱいが、どちらかといえば酸っぱさが勝っている。小さい頃したように、少し塩をふって食べると甘さが引き立った。
この山桃は楠を伐った後に、祖母が植えたものだ。祖母が小さい頃に食べた味が忘れられなくて、実のなる山桃にしたようだ。
植えた当初は細くて丈夫に育つだろうかと思ったが、そのうちに枝を広げてきた。
梅雨の長雨に根腐れもせず、炎天下の直射日光にも焼けず、台風にも枝を折られず、よく育ってきたと思う。
今は茎が細くなってしまったが、島バナナなどもよく熟れた。柿は鳥たちのエサになったりしたが、祖母は実のなる木を植えていた。
野菜や果物は、時期時期に実を生らせる。
手を加え育てたものには、格別の思いがある。
実を食べる時に、植え手はこの世にいない。しかし、実に詰まった思いは残り続けるのだ。