「温故創新」230501 N1207 伊波喜一

子ども等が 夢中になった 絵本たち 役目を終えて リサイクルへと

 昨夜からの強風で、サクランボの実があまた、道に転がっている。木にはまだまだ実が付いている。だから、小鳥たちは転がった実には見向きもしない。まったく目敏くて、計算高い奴らだ。

 娘達が通っていた小川西町図書館に、ちょくちょく通っている。学習室は8席あるが、平日埋まっているのは3席程度である。BGMも流れておらず、時折、新聞をめくる音が聞こえてくるぐらいだ。

 娘達が幼稚園の頃、この図書館のカード家族分4枚を使い、毎週絵本を借りていた。ゲーム機が流行り始めた頃で、ご多聞にもれず娘達も欲しがった。1台だけ買ったが、それ以上興味を示すことはなかった。かわりに、図書館の絵本という絵本を乱読したようだ。

 2人とも中高一貫校に進んだが、学校を選んだ基準の1つに読書の重視があった。今の時代は、情報の流れが著しく早い。じっくり、書の世界に浸ることが出来ない。今、この時に読んでおかなければならない書にふれなければ、二度と機会は廻ってこない。

 そう考えて、進路を選んだ。この選択は良かったと思っている。2人とも社会人になっても書に親しみ、好奇心を持ち続けている。

 娘達がかつて読んだかも知れない絵本が、役目を終えてリサイクルに出ている。清潔に保たれてはいるが、積年の手垢や綻び、ほつれが見られ、多くの子ども達が手に取ったことが分かる。

 長い間、子ども達に夢を与えてくれて、有り難い気持ちで一杯だ。