「温故創新」211218 N974 伊波喜一

外と内 皮膚と脳とは 枝分かれ 皮膚の働き 脳に近いと   

 木枯らしが吹いて、昨晩は寒かった。その名残りで、今朝は空気がピーンと張りつめている。自転車を漕ぐ手も、外気にさらされている耳も痛い。春の陽射しが、待ち遠しく思われる。

 人間の受精卵は細胞分裂していく初期の段階で、外胚葉、中胚葉、内胚葉の3つに分かれる。皮膚と脳は同じ外胚葉から生まれ、その後内側に入ったものが脳となり、外側に露出したものが皮膚となる。

 皮膚には、脳で使われる情報伝達物質と同じものや、それらの受容体も存在している。つまり、皮膚は脳が限りなく露出したものと言える。

 これまでは、五感で得られた情報を脳で処理すると考えられていた。しかし、皮膚は五感を有する。全ての情報を脳に集約してコントロールするだけでなく、皮膚独自で判断して脳に信号を送る。

 例えば、気味が悪かったりした時に、総毛立つことがある。これなど、脳が情報を集めて判断する前に、皮膚が脳に(変だぞ!)と信号を送っている。この脳の皮膚感覚は、まさに脳が「私達にどう感じさせるか」を発信している証拠である。

 人は外気や大地とともに生きる。陽を浴びて、土を踏みしめて生きる暮らしは、人の遺伝子に組み込まれている。

 過剰な清潔を常態化することは、皮膚の直感や全体把握、対応力を奪いかねない。その恐さを思う。