「温故創新」211219 N975 伊波喜一

身をカバー 自己と非自己 立て分けて 外敵たちから 内面守る   

 木枯らしの吹き荒れた翌朝は、富士山がくっきりと見える。白雪の富士は、いかにも堂々としている。四方八方から臨むことの出来る名山を、実感する。

 肌感覚というが、皮膚は自分と自分以外のものを認識する力が強い。体の外側から侵入してくる病原菌から、体の内側を守る。そのため、「非自己」を弾き返す。

 現代の医療技術をもってしても、他人の皮膚を移植することは難しい状況にある。

 それだけに、スキンシップの効用には目を見張る。異物である他人の肌と触れあう事は、本来なら相当のストレスとなる。

 ところが、肌の触れ合いは真逆の効果をもたらす。スキンシップによって、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌される。これは幼少期の成長、特に心の成長に欠かせない。

 だから、スキンシップが不足すると自分に自信が持てず、自己肯定感が低くなる。スキンシップが少ない環境で育った子どもは、自傷行為に走る傾向が高い。これは、スキンシップの代償と考えられる。

 

 未熟児の赤ちゃんを比較した研究では、スキンシップの多い赤ちゃんの方が、体重が早く増加したとのことだ。

 人は触れ合いを求める生き物である。その出発点は、幼少期のスキンシップにある。私達はこのことを、決して軽く考えてはいけない。