「温故創新」210304 N685 伊波喜一

バイオガス 余熱活かして 果物を 北海道の メロンに甘み           

 ここ数日、強烈な北風が吹いている。北国では大雪となった。一気に冬に戻ってしまったかのようだ。 

 北海道東部の新得町では、牛の糞尿を活かした発電の余剰熱でメロンを栽培している。

 このメロンは日中、ビニールハウスで室温を30℃以上に保っている。夜間は外気を取り入れて、18℃程度に下げるなど工夫している。

 そうしたところ、18年夏に初収穫したメロンは、糖度が17~19度もあった。これは、高級品の糖度として分類される。

 今では年間1千玉以上も収穫され、帯広市内の百貨店で販売されている。 

 新得町は北海道の真ん中に位置し、乳牛を生業としている。

 1日の糞尿が何十tになる牧場もあり、処理費用がかさんでいた。そこで再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を適用し、バイオガス発電のプラント設備を導入して発電した。それを、北海道電力に売買した。メロン栽培はその副産物である。 

 このメロンは水耕栽培されているため、地熱の急激な低下による影響を受けにくい。寒暖差のある地域や北海道のような雪で覆われた地帯では、効果的な栽培であるといえる。

 牛糞という「お荷物」を電力という「お宝」に換えた現地の知恵に、脱帽である。