「温故創新」210305 N686 伊波喜一

自らが 生の選択 哲学を 生きる意味をば 共に考え          

 サクランボの蕾が、随分開き始めた。風が冷たく、小刻みに震えている。淡い白色が、真っ青な空に映えてひときわ美しい。 

 卒業・進学・転居と大きく環境が変わる3月と4月。この時期は、ため込んできた不安や悩みがわき出る時でもある。

 前に向かって背中を後押しされることが、かえって心の負担となることは想像に難くない。 

 昨年度、2万1077人が自殺で亡くなった。

 女性の自殺者が7025人と前年より15%も増えた。小中校生も498人と過去最多となった。

 その原因や動機では「孤独感」が一因とされる人が434人と、前年より30%以上の増加となった。

 悩み相談にあたってきたNPOは先月、11団体が連携して「#いのちSOS」を開設した。

 世界の自殺者は年間80万人にのぼる。韓国やフランスは相談員の育成に、国を挙げて取り組んでいる。

 日本は心の問題を相談することを、憚る雰囲気がまだまだ残っている。先行きの見通せないこの世の中で、不安を感じない人はいない。真面目に生きようとすればするほど、悩みは尽きない。頼れるものがなければ、誰しも心を病むのは当然である。 

 国はきめ細やかな対策をとり、尊い命を守り抜いていく責務がある。