「温故創新」230209 N1175 伊波喜一

困ったら 一言相談 する相手 いなくなっては 路頭に迷う

 昨晩の雨は、突然降りつのった。すっかり濡れたが、乾ききっていただけに、地面に潤いが戻った。

 今、メンタルヘルスが懸念されている。貧困だったり回りの共助が得られないこともあるが、多忙で自他を顧みる余裕がない事が事態に拍車をかけている。

 2022年の自殺者は、2万1584人を記録した。自殺者1人につき5人弱の遺族がいる。また親を自殺で失った「自死遺児」も9万人にのぼる。親の経済的支援がなく教育を受けられなかったら、チャンスの芽は確実に狭まる。いざ職についても、責任は重く賃金は安い。

 これで、シングルマザーだったり家族に介護が必要な人がいたりすれば、生活を維持すること自体がきつくなる。正規雇用ならば厚生年金や健康保険を手にすることが出来るが、非正規雇用の場合はいつ首を切られるか予測すらできない。 

 新規事業を開拓出来ない日本の将来は、今後ますます厳しさを増す。国にも会社にも余裕が無くなり、弱者はますます隅に追いやられてしまう。共助や公助は、遠のくばかりだ。

 しかし、こういう時代だからこそ、人のために火を灯す社会が求められる。人は自身が豊かだから、人に施すのではない。惜しむ心を乗り越えて人に尽くすことで、大きな満足と喜びを得られるから尽くすのだ。共助の底辺に流れる慈悲の通奏低音を、今こそ取り戻したい。