「温故創新」200709 N476伊波喜一

人類の 進化の元に 言葉あり 言葉の機能 分類にあり 

 ヒトは高度な文化を持ち、文明を発展させてきた。その行きつく先がグローバル化であり分断だとしたら、これほどの皮肉はない。

 言うまでもなく、言葉の機能は分類することにある。本来は違うものやニュアンスが異なるものでも、同じものに分類する。

 私達が外国語を習得するときのことを思い出すと、このことがよく分かる。一つの訳では捉えにくい言葉も、派生語も含めていくつかの例を示すと捉えやすい。 

 言葉を獲得する前、私達は感覚を通して違い(差異)を理解していた。

 自然の声に耳を傾け、木々の匂いを嗅ぎ、草木の甘さを味わってきた。五感をフルに生かし、自然と一緒になって生きてきた。

 ところが、言葉を獲得する過程で、この皮膚感覚が失われてしまった。ネット社会になり、その傾向がますます顕著になった。 

 今の世は極力、五感を使わないで生きていこうとしている。違いを認めず、むしろ排除している。

 日本国内における格差の問題、米国で起きている人種差別に端を発したアイデンティティ(自己同一性)の欠如など、皮膚感覚さえあれば共感できることばかりだ。 

 分断社会の今だからこそ、地に足の着いた言葉を大事にしたい。現実から目を背けてはならないのだ。