「温故創新」200708 N475伊波喜一

混沌の 時代の先に ある光 人を尊ぶ 差別乗り越え

 記録的な豪雨で、九州では数万人に避難勧告が出ている。

  大量の梅雨前線が北上するにつれ、さらに大きな被害をもたらしかねない。国土設計のあり方を見直さなくてはならない。 

 米国では今、黒人差別に端を発した抗議運動が続いている。米国の中での差別は人種差別だけではなく、貧困から抜け出せない負の連鎖に対する怒りと結びついている。

 米国人としての自画像が変わらざるを得ない事態に、直面しているといってもよいだろう。 

 人種差別とは組織の中で構造的に生産されてきたもののことをいう。医療制度の不備のため、コロナ禍で多くの人が感染し、職を奪われた。また、返済不可能な教育ローンがのしかかり、大学を卒業しても就職出来ない状況が続いている。

 働けど働けど、楽にならない社会。社会に取り残されたと感じている人々が、抗議のエネルギーとなっている。 

 同様の現象は米国だけでなく、日本の「桜を見る会」の抗議デモに通じる流れでもある。

 対話や融和より、怒りと行動に任せて社会を動かす方が早いと考えるのも、無理からぬ話である。 

 しかし、現実の声に耳を傾け、同苦する心を失ってしまえば分断の闇は深まるばかりだ。対話を閉ざしてはならない。