「温故創新」190328 N264 伊波喜一

    偶然の 再会嬉し 笑顔あり 陰の労苦に 徹し抜く人

 中野・四季の森公園の桜は今が七部咲きである。晴れた日の日中はコートを脱ぐぐらいの陽気で、ヒトはついその暖かさに惑わされてしまう。しかし、その点さすがは桜、微動だにしない。咲くべき時を外さず、時来たらば一気に万朶の花を開く。誰に言われたわけでもないのに、時を感じ、時に応じ、渾身の力をふりしぼって花を咲かせる。 ヒトも同じ。時分に花を咲かせることを忘れ、非時に花を咲かせようとしても、万朶の花を咲かせることは出来まい。何事によらず、懸命に生きる姿はヒトの心を打つ。 ご縁がめぐって、かつてお世話になったOさんと再会できた。もう、お会いする機会はないと思っていただけに、天の計らいに感謝する。控えめで周りを立て、自身は決して目立とうとしなかったOさん。当時Oさん自身、子育ての真っ最中で大変だったと思う。それなのに、笑みを絶やしたのを見たことがなかった。真似出来ることではない。その笑顔にどれだけ癒されたことだろう。励まされたことだろう。感謝してもしきれない。 古語に幸いは心より出でて我身を飾るとある。Oさんの真心にふれた人の心には、万朶と花が咲くに違いない。