「温故創新」210722 N825 伊波喜一

人はなぜ 生死を超えて 生き続く 利他の心を 子孫に託す   

 快晴続きの東京で、東京オリンピックが開幕する。昨年からのコロナ下で、1年延長しての開幕だ。

 感染症との戦いの中での開催である。医療崩壊だけは何としても防ぎ、記憶に残る大会になることを願う。 

 人には寿命がある。現代は長寿社会で、人生100年時代を謳われている。狩猟生活を中心としていた縄文時代以前の日本人の平均寿命は、13歳~15歳だったと考えられている。

 稲作農耕によって栄養バランスが向上したものの、それだけでは長寿社会にはならない。村社会に移行する中で、互いに助け合い支え合うことの大切さに気づいたことが大きい。つまり、人のために何かをすることで、喜びを感じるようになっている。

 哺乳類の中でも、ヒトは格段に養育期間が長い。

 諺に「膝の上にも3年」と言われるように、離乳も一人歩きも時間がかかる。野生の動物のように、生まれ落ちたと同時に動き回ることが出来ない。

 だから、ヒトは集団の中で守り育てられてきた。そこに利他の心がなかったならば、成人になるまで生を全う出来なかったろう。利他の心があったからこそ、ヒトは生存競争を生き延びることが出来た。 

 現代は、対立や差別が絶え間なく社会である。しかし、人を陥れる言動からは、生存の価値が生まれてこないのだ。