「温故創新」211107 N933 伊波喜一

自利利他の 小さな小さな 積み重ね 日々の友好 足下に平和           

 軒下に干した洗濯物に、夜露が落ちている。遅い日の出とともに、露も乾いてなくなる。朝日の力は偉大である。

 分断を煽る文化や言葉が溢れる中、対立を繋ぎとめるには相当なエネルギーが必要となる。そのためには相手の心に菩提心があると、信じられるかどうかにかかっている。

 人の心には邪悪な鬼も住めば、相手の幸せを願う仏も住む。悪性もあれば善性もあるから、人の心は複雑極まりない。

 しかし、ただ念じているだけでは、状況は変わらない。自ら心を開き、声をかけることから、事態は変わっていく。

 ドイツで育ったラーッパーのブルーミオさんは、「Hei Mr.Nazi」でネオナチへの対話を試みた。

 ドイツ国内では彼等に対して「バカ」「出ていけ」とけなす言葉が溢れている。しかし、それを聞いても、納得できないだろうとブルーミオさんは考えた。そこで彼等の心に寄り添いながら、人としての情や家族愛・友情を語っていった。

 敵味方という選別は、単純で力強く響く。しかし人は誰でも菩提心を持っている。

 仏法では不二を説く。自分だけでなく、相手にも同じように情があるからこそ、相手の善性を信じ抜ける。

 混沌とした時代だからこそ、この知恵を社会全体に光らせたい。