「温故創新」230923 N1298伊波喜一

老いるのは 人類だけの 特徴と 進化の不思議 高齢の謎    

 雨混じりの今朝は蒸すが、気温が23℃と低く肌寒い。秋到来だ。 

 老いは生き物の中でも、人間に特有の現象である。人間以外の自然界の生き物は、子どもを産めなくなった段階で死ぬ。チンパンジーも死ぬ直前まで、子どもを産むことが出来る。

 人間の女性の場合、50歳前後で閉経を迎えるが、今や日本人女性の平均寿命は87歳である。約40年近くもある。

 では人間にはなぜ、こんなに長い老後があるのだろうか。進化論では遺伝子の変化によって、生まれた多様性の中からその環境に適応したものが残り、その遺伝子が継承され、現在の生きものの形態や性質になっていると考えられる。

 ヒトは他の動物より早産、未熟児の状態で生まれてくる。脳が大きく、四肢は未発達で1人では何も出来ない。当然、世話が必要となる。

 祖父母はその点、うってつけである。知識や知恵に富み、スキンシップをしてもらうと、子どもの脳は発達する。その知恵の集積が、結果としてヒトの生存確率を高めたと考えられる。

 さらにヒトは集団で暮らし、文明を築いてきた。孤立した状態では非力でも、互いに連携して弱点をカバーしてきた。特にシニア世代はその秘訣を上手に孫世代に伝え、それが種を保存させてきた。

 そう考えると、老いの時期は人生の黄金期、収穫期と考えられる。その知恵を身の回りに活かさないのは、勿体ないことである。