「温故創新」201217 N614 伊波喜一

自らの 一念定め 揺らがずに 縁に紛動 愚かなるかな          

 空気が乾燥している。空が抜けるように青い。微風が吹いていて、そのわずかの風に枝の葉が揺れている。 

 心は移ろう。縁にふれて、いかようにも揺れる。大事なことは、どこに心の置きどころを定めるかだ。 

 私達の心は「1人1日の中に8億4千念あり」というぐらい、揺れ動く。縁にふれ、縁に左右され、紛動される。情報の洪水に溺れ、押し流され、操作される。

 たまにワイドショーを見ると、これでもかとネガティブ情報が押し寄せてくる。その渦の中にいると、物事を否定的に捉えがちになる。 

 物事を否定的に捉えるとストレス物質が分泌されて、免疫力が落ちる。肯定的に捉えるとストレス物質を抑え、免疫力が高まる。 

 動物と比べ、ヒトは大脳皮質が著しく発達している。毎日毎時、どのような心構えや心がけで生きるかで、一生のうちには大脳皮質の発達に大きな差が現われる。 

 中でも脳幹部の視床下部から出されるオキシトンという物質は、他者と関わることで分泌される。すると、ストレスを軽減させ、逆境に立ち向かう力が心の底から湧いてくる。 

 ヒトは長い年月を経て、他人に尽くすことで自らが守られ、幸せになることを実感した。 

 人の世界を離れて、人の存在はないのだ。