「温故創新」 201218 N615 伊波喜一

夢だった 35人 学級を 5年かけて 国も動くか           

 車の表面が、霜でうっすらと覆われている。朝方の気温は3℃である。自転車を漕ぐと耳先が痛い。 

 公立小学校の1学級の児童数の上限が、35人に引き下げられることになった。1980年に現行の40人に引き下げられて以来の改正で、40年ぶりとなる。

 それに伴い、2025年までに1万2800人の教員の増員が必要となる。22年度以降の財源確保は、財務省とその都度交渉していくことになる。

 実際に東京都など大都市以外の全国の小学校の9割の学級は、35人以下である。各自治体で財源を捻出して、実施している。 

 日本の教育は産業界の意向を受けて、実施されている。

 産業界や外資企業からは、英語教育の必要性が叫ばれてきた。英語検定の結果を大学受験に反映させるなど、その最たるものである。

 教育の根幹に、あるべき社会像を描かず、営利を意識した目標を掲げてきた。これは工業化社会の残滓である。 

 人の社会には適正規模がある。明治以来、富国という目標を掲げて走ってきた日本。ゆとりや多様化、SDGsは富国とは直接結びつきにくい。

 しかし、教育は本来、その土台の上に花開くものである。適正規模の教育が不可欠であることは、論を待たない。