「温故創新」211205 N961 伊波喜一

能力を 図る目安の 危うさよ 知徳体の バランス保ち

 西武線の中井から乗り換えて、地下鉄大江戸線中野坂上で降りる。電車は超満員で、身動きが出来ない。

 コロナ前はもっと混んでいたらしい。体力と我慢強さが無いと、通勤することが難しい。

 米国を真似て、日本も能力主義を取り入れようとしてきた。ところが、当の米国では格差が拡大して、修復が効かない。

 トランプ氏は、人々の不満を巧みにすくい上げ、唆し、煽った。

 トランプ氏がそうであるように、裕福な家に生まれただけで高学歴を得ることが出来る。ITや金融機関など知識集約型の産業で働く人達の得る収入は、天文学的数字である。

 お金がお金を生む。これが資本主義の論理と頭では分かっていても、納得できるものではない。

 湾岸沿いのタワーマンションを買える人が、どれだけいるだろうか。 自営やサラリーで稼ぐといっても、稼げる額には限度がある。

 一生のうちに家を持ち、子どもの教育を終え、ローンを返済する。親の介護が始まり、それが終わる頃には、自身の介護が必要となる。それがごく庶民の暮らしである。国が格差を煽って税収を増やしたのでは、そのあおりをまともに食らうのは庶民である。

 生き甲斐のある暮らしとは何か、誰とどう暮らしていけるのか、個人も社会も青写真を描いていく時に来ている。