「温故創新」201222 N616 伊波喜一

   201222 N616 伊波喜一

誰人も 生きる権利を 保証され 性暴力の 闘い続く          

 夜半から朝方にかけての気温は-2℃だった。寒いわけだ。指先や耳が痛い。霜焼にならないようよく揉んでおく。 

 2018年にノーベル平和賞を受賞したデニ・ムクウェゲ医師は、武装勢力から命を狙われ続けており、今なお国連の部隊に警備されながら生活している。 

 コンゴの性暴力は、レアメタルなどの鉱物を巡る経済紛争が背景にある。銃や爆撃機に代わる最も効果的な武器として、女性への性暴力が行われている。 

 コンゴでも女性が畑仕事や子育てなど、家庭生活で中心的な働きをしている。武装勢力はその女性を標的にすることで、人間性や絆、信頼、経済構造を破壊しつくす。結局、共同体が壊され、住民が逃げ出す。そこを、武装勢力が占拠し、支配する。 

 ムクウェゲ医師の設立したパンジ病院では、5万5千人もの被害女性を治療してきた。その中には家族を虐殺され、本人も内臓や性器に深い傷を負った女性がいる。

 そのような女性たちがパンジ財団から包括的なケアを受け、人生の目的や意味を再発見し新たな出発をしている。 

 包容と共生、創造と建設は女性の特徴である。自国の経済的利害を判断の基に置くのではなく、人権を守る視点からこの国に関わっていきたい。