「温故創新」211027 N922 伊波喜一

公立か 私立にするか 悩む親 かかるはかかる 教育高騰       

 道端のイチョウの枯れ葉が、風に誘われてカサコソと音を立ている。あっという間に黄色くなり、茶に変わった。余分なものを削ぎ落して、枝々は来春の芽吹きに向けて栄養を蓄えている。

 自然の摂理は、一瞬の停滞もなく進んでいく。

 相変わらず、教育費に金がかかっている。小学校から大学まで全て国公立で1078万円、全て私立だと2533万円もかかる。

 日本の場合、義務教育を卒業すると、高校・専門学校・大学の費用は全て家庭が負担する仕組みになっている。これでは家庭の経済力によって、高校進学の有無が決まってしまう。

 そこで、高校授業料無償化が進められてきた。最初は公立だけだったが私立にも適用の幅が広がったことで、家計の負担がどれだけ軽くなったことだろう。

 ただし、高校以上の教育機関への公的支援は、まだ道半ばである。 

 本来、その人の持っている力を発揮するために、高等教育の門戸が開かれていなければならない。だが、我が子に過不足のない大学生活を送らせようとすれば、相当な額がかかる。

 例えば、大学生一人当たりの奨学金返済額は、400万円~600万円にものぼる。これは、教育の名の元に借金させた額である。社会人1年生になる人達に、この負債を負担させていいわけがない。

 次世代の人材を援助してこそ、教育立国日本と呼べるのだ。