「温故創新」230810 N1254 伊波喜一

どんどんと 右肩上がりに 伸びていく 成長神話 成熟国へ    

 心なしか、空が高い。肉感溢れる夏の雲から、力が抜けたような雲に変わっている。目には見えねど、秋がやってきているようだ。

 日経株が3万2000円と高止まりしている。経済は生きものである。そして株価の動向に、私達もまた一喜一憂する。 

 株式や貴金属類に頼らず預金でという人も、日本ではまだまだ多い。それでも、右肩上がりの成長を期待しない人はいないだろう。

 このことは個人においても、会社においても同じである。稼がなければ、富の分配は難しい。利潤追求に明け暮れるのは、ある意味で資本主義の宿命であるともいえる。

 先日、都心に出る用事があり、上さんと出かけた。駅前のマンションの賃貸価格を見て、ビックリした。1DKで11万円、1LDKで15万円と表示されている。この分では、3LDKに住むには20万円以上かかることになる。異常な高さである。

 加えて、食費や教育費、老後資金など生活全般にかかるコストが高くなる。これに、住民税や健康保険なども加わる。これでは、都心に住むには、よほどの稼ぎがなければ住めないということになる。

 そう考えると、駅など公益スペースを含む一帯の土地の開発や売買にあたっては、極端に土地や建物が高騰しないような合意が必要となろう。規制というと誤解を生むが、良い意味での規制は必要である。それは規制ではなく、基準や規範という意味合いではないだろうか。