「温故創新」230124 N1164伊波喜一

増え続け お一人様の 相続が 国庫へ収納 遺言きちんと

 どんよりと雲が垂れこめている。今にもみぞれ雪になりそうな気配だ。明日からにかけて、東京もマイナス3度になるとの予報である。

 遺言の相続人がないなどの理由で国庫に入る財産が、21年度は647億円にのぼった。01年度が107億円、11年度が332億円と、10年前の2倍になっている。

 国立社会保障・人口問題研究所によると、20年度の50歳時の未婚率は男性28%、女性が18%となっている。一方、65歳以上の一人ぐらしは671万人で、10年前の1.4倍にのぼる。30年度には、800万人にのぼると予想されている。

 そしてこの中には、相続人がいない人達が一定数含まれる。いざという時のために、財産の使い道を残しておくことは必要であろう。

 相続をしたものであっても、その処理や処分は容易でない。ましてや、どこに何があるのか分からない状態であれば、その全様をつかむまでに時間がかかる。

 金券ならいざ知らず、土地や建物は処分するのに手間と時間とお金がかかる。共有名義だと、互いの利害の調整で手間取る。借地に家が建っていたり雑種地だったりした場合には、簡単に売れない。また、貸した先が厄介な相手だと、円満解決に至るまでにそれこそ忍耐強く我慢できるか突き付けられる。

 相続は早めに手を打っても、決して早すぎることはないのだ。