「温故創新」230724 N1238 伊波喜一

弔いや 財産管理 生前に おひとり様の 死後事務委任  

 東京は好天続きである。屋外の車は天井が熱せられて、手では触れられない。室温は42℃。涼しくなる9月の彼岸が、待ち遠しい。 

 引き取り手がなかった死者の数は、2018年からの3年半で10万5700人にのぼった。引き取り手のない死者の遺族探しは、各市町村が対応している。が、相続や遺骨の引き取りを拒否されたりと、対応に苦慮している。

 市区町村で保管されている「無縁遺骨」は、21年10月現在5万9800柱にのぼる。

 死後事務委任契約には、自治体への届け出や友人・知人への連絡がある。火葬の立ち合いや希望する方式での葬儀、指定先への納骨や永代供養もある。

 これまでは、司法書士などの専門家に依頼するケースが多かったが、最近では地域の社会福祉協議会や、「終活」関連のNPO法人に依頼するケースも出てきている。

 墓を相続することは、今まで当然のことと捉えられてきた。しかし、少子高齢化の今後を考えると、果たして墓を守っていけるのか案じられる。ましてや墓が遠隔地にある場合、いつまで参ることが出来るだろうか。そう考えていくと、合葬やモニュメントで慰霊を尊ぶことは決して突飛な発想ではない。それが常識になっていくかも、知れない。

 1つの選択肢として考えていく時が、来ているように感じている。