「温故創新」230808 N1252伊波喜一

ドミニカの 移民政策 破綻する 責任認め 補償するかと    

 朝、裏の花壇の下から、茶色のトカゲが走り去っていった。どこに潜んでいたのか、干からびないような場所を見つけているようだ。 

 戦後の移民政策でドミニカ共和国に移住した日本人に対し、ドミニカ共和国は責任を認めた。1世帯当たり、日本円で2千万円超の補償金の支払いを進めている。

 ドミニカ共和国への移住は、敗戦後の急激な人口増加を懸念した日本政府が推進し、1956~59年に249世帯1319人が移住した。ドミニカ政府は各世帯に6~18㌶の耕地を引き渡すと約束したが、実際に耕地は与えられず、移住民の生活は困窮を極めた。

 今回補償の対象となるのは、ドミニカ国内に定住し、これまでにドミニカ政府から代替地を得ていない45世帯のみである。対象から外れた42世帯についても、審査をして基準を満たせば補償に応じるとしている。

 それにしても、補償にこぎつけるまでに60年余の時が過ぎている。この間、日本政府はドミニカ政府の欺瞞と怠慢に抗議し、もっと早く補償を勝ち取ることが出来たのではないか、その熱意が足りない。

 ドミニカへ移住した方の話を聞くと、あまりの惨状に想像を絶する。水が引かれていなかったり、石ころ混じりの土地だったりと、およそ開墾とはほど遠い現状だった。

 補償までの60年余の歳月は、あまりに長かった。