「温故創新」230807 N1251伊波喜一

変わりゆく 社会の中で 不動軸 ぶれない指針 保ち続けん    

 沖縄に留まっていた台風6号が、九州へと北上している。線状降水帯の影響は凄まじく、沖縄や奄美では土砂災害や川の氾濫が相次いでいる。予想を超える自然の猛威に、人智の及びがたい事を痛感する。

 コスパやタイパは、現代人の意識の中に広く、深く浸透している。

 近代前の社会は、地縁や血縁といった地域の共同体が中心となっていた。冠婚葬祭は元より、祭りや季節の行事など、日常の中に共同体が溶け込んでいた。そのため、議論や理屈だけで物事を押し進めるのではなく、食べて話して場を共有しながらことを決していった。

 近代になり、効率的・経済的に事を進めることが重視されるようになった。プロセスの大切さは分かるが、結果こそが全てと考えるようになった。利益を生み出さないモノやコトには、価値がない。競争に勝ち抜けなければ、敗者となる。だから、明日に希望を見い出せず、引きこもる人が増えた。

 数日前に、若い人達と話をする機会があった。皆、置かれている状況は似たり寄ったりである。利益追求型の組織にあって、モチベーションを維持できるようにするには、何が必要かが話題の中心となった。 

 異口同音に、互いの話を傾聴すること、またそういうチームを作ることと話していた。相手の置かれている状況や困り感を、共有する。たったこれだけのことのように思うが、皆それだけ聞いてもらうことに飢えているのだ。傾聴の大切さを、改めて感じさせられた。