「温故創新」220218 N1006伊波喜一

学力で 測れる力 限りあり 学び続けん 人生大学

 陽はまだ昇っていないが、随分と戸外が明るくなった。畑が一面の霜で覆われているのが、くっきりと分かる。それにしても、朝晩の冷え込みはまだまだ厳しい。

 子ども達が学業を終え、家計の見直しをしてみる。すると、教育費の占める割合がいかに高いかが分かる。これも、大卒者でないと高収入を得る仕事に就けないという現実があるからだ。

 成人における大卒者は現在50%で、この先20年変わらないと言われている。今の20~30代は大卒家庭で生まれ、自らも大卒になっている。

 同質集団としか交わらないため、同年代の半分が非大卒であることを実感できていない。社会のインフラを支えるエッセンシャルワーカーや、農業・工場勤務の実態を全く知らない。

 そのため、社会を維持するための重要な仕事を担っていることへの、敬意が薄い。

 高名な地理学者でもある牧口常三郎先生は、昭和初期に既に「半日学校制度」を提唱している。学び・働くことで、生きた学問をすることをねらった。働くことで自身の未熟さを知り、学び直す。「生涯学習」と連動させていくことで、社会をも向上させることが出来る。

 この卓見を、学歴分断と呼ばれる今こそ見直してゆきたい。実学の価値に目を向ける時、社会の尺度も変容していくのだ。