「温故創新」220126 N997伊波喜一

世界中 感染拡大 コロナ下で 生きる喜び 同苦の心

         

 通勤途中にある2階建てのアパートが、取り壊されている。内側にある壁が取り除かれると、がらんとした空洞が広がっている。建物にも寿命があることに、思いいたった。

 池田大作SGI会長による「第40回SGI提言」が発表された。提言では先ず、コロナ下の感染拡大に世界中が苦しむ状況の下で、健康や幸福の意味を問うている。大乗仏教維摩経にある「同苦」こそ、その根幹を成す。

 次に創価学会戸田城聖第2代会長が70年前に提唱した「地球民族主義」の意義にふれ、「パンデミック条約」の制定を促している。続いて、日中国交正常化50年の節目に「気候危機の打開に向けた日中共同誓約」策定を提案している。

 最後に、核拡散防止条約(NPT)の決議を受けて、各時代に終止符を打つための具体策を提案している。

 何とスケールの大きな提案だろう。世界の知性との対談と137カ国地域に根を張っているSGIの会長として、グローバルな視点と卓見が光る。弱い立場にある者、光の当たらない立場にある者に、サーチライトを当てて、見捨てない。この同苦の心さえあれば、何とか生き抜いていける。

 貧困や社会体制、民族や宗教、差別と分断を乗り越えて、なお強烈な光を放つ提言に心が震える。