「温故創新」201024 N571 伊波喜一

高齢者 50年経ち 2000万 人を支える 国のあり方 

 柿が美味しい。店頭や路地販売で並ぶ柿の色つやが鮮やかだ。改めて、四季に恵まれたこの国を大切にしてゆきたいと思う。 

 2020年版厚生労働白書によると、高齢者がピークに達する2040年には高齢者が3921万人になる。

 平成元年(1989年)の高齢者は1489万人で、人口の12%を占めた。2040年にはこれが35%に跳ねあがる。 

 65歳の高齢者が90歳まで生きる確率は、男性42%、女性68%となっている。男女平均で55%増となり、確実に高齢化社会が訪れることを裏付けている。 

 年金・医療、介護などの社会保障給付費は、47兆円から190兆円へと跳ね上がる。一方で、出生数は125万人から74万人へと、40%も減少する。

 厳しい世相を考えると、これから子どもを産み育て、教育していく世代にとっては、自助もままならない。共助や公助の負担に若い世代がどこまで耐えられるのか、気がかりである。 

 調査では「日頃から手助けを頼れる人がいない」という世帯は、44万世帯から230万世帯に増える。親族や近所との付き合いは、今後さらに希薄化していく。 

 だからこそ、社会全体で孤独化を防ぐための指針を共有し人を育てることが、今ほど求められている時はない。