「温故創新」231217 N1350 伊波喜一

勝つことの 重み知りたる 勝負師の 未踏の戦野 足跡残さん           

 暖かな日が続いている。お歳暮の配達で、宅急便が停まっている。

 大谷翔平(29歳)が、米国のプロスポーツ史上、最高額の契約を記録した。大リーグのロサンゼルス・ドジャースと、10年7億ドル(約1015億円)で契約した。

 今回、契約金も型破りだったが、「後払い」も瞠目させられた。契約期間中は、年間200万ドルしか受け取らず、残りの6億8000万ドルは後から受け取る。

 大リーグには、戦力均衡を図る様々な規定がある。特定球団に戦力が集中しないよう、規定額を設けている。これに反すると、課徴金を課せられる。規定額は、2億3700万ドル(336億円)である。その額を超えると、超過額の20%の課徴金を、MLBに納めなければならない。2年目以降は、さらにその額が跳ね上がる。

 大谷が後払いを承諾したのは、課徴金に回されるお金で選手の補強や施設・待遇の改善を要望したからだと伝えられている。富を独り占めせず、チームの戦力向上を企図するところ、後生畏るべしである。

 

 大谷の人気は、投打にわたる実力と先例にこだわらない柔軟さである。加えて、人懐っこさと礼儀正しさ、公平さが挙げられる。世知辛い世の中にあって、スーパースターの発する言葉や振る舞いは、多くの人々を勇気づける。大谷が怪我なく活躍することを、願っている。