「温故創新」211104 N930 伊波喜一

先駆けて 先進国の 役割を 地道で長く 平和貢献            

 隣りの敷地から、家の工事の音が聞こえてくる。電動ドリルで釘を打ち込む音に混じり、尻長で鳴く鳥の声も聞こえる。紛争の絶えない世界にあって平和の槌音が聞けることに、感謝したい。

 英国グラスゴーで開かれているCOP(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)で、岸田首相は発展途上国の温暖化対策支援として、新たに100億ドル(1兆3千億円)の追加支援を行うことを明言した。

 これまで表明した600億ドルを加えると、最大700億ドルの支援となる。また「パリ協定」や50年の「温室効果ガス排出量ゼロ」を目指し、実現していくと明言した。

 さらに、アジアを中心に再生可能エネルギーを導入し、火力発電からアンモニアや水素などを使った方法に転換する。そのために、1億ドル規模の先導的な事業を展開するとしている。

 途上国の中には温暖化の影響で、水没や消滅の危機に陥っている国々がある。先進国は20年までに1千億ドル支援する約束をしているが、実現していない。

 そのような中、日本が率先して資金援助を行うと明言した意義は大きい。環境問題の解決には、世界全体の協力と計画が欠かせない。

 達成するには長い道のりだが、庶民の生活を守ることが真の国際貢献であることを、日本はもっと世界に誇ってよい。