「温故創新」231216 N1349 伊波喜一

大学に 企業原理を 持ち込んで 目先の成果 飛びつく恐さ           

 日本列島は旭川でマイナス7℃、与那国で27℃を記録している。

 日本の国際競争力を高めるためにの一環として、第2次安倍政権下で「大学ガバナンス改革」が行われた。その結果、今回の「国際卓越研究大学」のように、年平均3%の事業成長が課せられた。要するに、稼げる大学を目指せということだ。

 卓越大の運営方針を決める合議体には、学外の経営専門家を加える必要がある。彼等は学長の選任や解任の権限も持つので、政官財界の意向が強く反映されることとなる。当然ながら、学術分野の多様性や非効率性はないがしろにされることとなる。

 「選択と集中」という言葉は、実に勇ましい。目ぼしい成果を上げそうな大学に投資すれば、投資還元率も良かろう。このようなやり方を、国は文科省を通じて行ってきた。学習指導要領を改正し、企業活動に優位になるよう無目的に内容改正してきた。

 その結果は、どうなっただろう。小学校低学年から英語を取り入れたものの、肝心の国語は削ったため、まともに読み書きが出来ない子どもが出てきた。母語で物事を考えられない、短絡的な思考が少しずつ蓄積されていった。その結果が、現今のハラスメントの多発や大人のモラル崩壊と関係していないなどと、誰が言えるだろうか。

 教育の本義を忘れ、効率的に錬金出来ることだけに大学が向かうならば、国家100年の未来が危うくなることを危惧する。