「温故創新」191214 N358 伊波喜一

環境も 利便性もと 欲張りて 開発急ぐ ベンチャー企業

 吉野 彰さんがノーベル化学賞を受賞した。80年代日本の企業研究のパイオニア的存在であり、基礎研究の成果を示した格好である。特許の報酬と同時に社会への貢献度が求められるところに、発明の醍醐味があると吉野さんは語っている。(ナルホド!) 企業は儲けるのが宿命だ。そのためには、意表を突く発明でなければならない。二番煎じでは儲けを生まない。 そのような発明を生み出す企業風土を、シリコンバレーとワインの産地の近接という観点から語っていたのが、面白い。それとスタンフォード大学。現場とアカデミズム、それにリラックス出来る環境。この3つが揃って初めて、発明という果実が実る。 効率を考えない経済は破綻する。しかし、効率だけを突き詰めた経済は疲弊する。文化や芸術、思想や宗教などは、効率だけでは推し量れない。同様に、癒しや優しさ、思いやりや励ましなどは、効率には置き換えられない。これらの価値に気づき・尊重するところからしか、人や環境に優しい生き方は生まれない。ワインが熟成という時を経て円熟するように、効率化一辺倒ではない多様性のある生き方の中に価値は眠っているのだ。