「温故創新」210221 N674 伊波喜一

マンモスの 遺伝情報 解読し 寒冷適応 謎に迫るや         

 寒冷前線の影響で、日本海側は大雪が降り積もった。

 ところが、太平洋側は好天が続いている。狭い日本だが、多様な表情が見えてくるようだ。

 シベリア北東部の永久凍土から、100万年以上前のマンモスが発見された。スウェーデン自然史博物館などの国際研究チームがその歯からDNAを抽出し、全遺伝子情報(ゲノム)を解読したと発表した。

 マンモスは約530万年前に、アフリカに生息するゾウの祖先と分かれたと推定されている。

 ユーラシア大陸北部まで進出した結果、毛が長くなり、脂肪を蓄え、体温をうまく制御するようになった。

 DNAを抽出した3個体の歯は、別々の場所で発見された。120万年前の個体は新種の可能性があり、北米大陸の「コロンビアマンモス」の祖先に当たることが判明した。

 コロンビアマンモスは、42万年前までにこのマンモスの系統と「ケナガマンモス」が交雑して出現したと見られる。ヒトの進化同様、マンモスも長い時間をかけて進化してきたことが分かる。

 酷熱のアフリカから極寒のシベリアへと、移動するだけでも大変だ。そこに定住して子孫を増やすとなると、想像を絶する困難があったに違いない。

 マンモスの祖先たちの生への執念に、ただただ感嘆するのみだ。