「温故創新」210120 N642 伊波喜一

混乱と 分断残して 退任へ 米国第一 秩序揺るがす                   

 大寒の今日は、北風が強い。北国では暴風雪の影響でホワイトアウトが起き、交通事故や渋滞が起こっている。 

 トランプ大統領が20日、任期を終えて退任する。2017年の就任式で訴えたのは「米国第一主義」だった。

 米国の利益を優先し、不利なものは切り捨てた。TPP、パリ協定、イラン核合意からの離脱など、米国が戦後主導してきた国際秩序を否定し尽くした。

 同盟国に対しても、米国が利用されているとして、米軍駐留の見返りに巨額負担を求めた。 

 一方、中国との関係は知的財産権や情報漏洩をめぐって、一方的な批判を繰り返した。関税合戦で貿易戦争を演じたが、勝者は一体誰だったのだろう。 

 この間、コロナ禍は拡大した。米国内で2400万人もの感染者を出した。医学や公衆衛生を軽んじた結果、自らが罹患したのみならず、米国人死者40万人にもなった。

 その間隙をぬって、中国はコロナウイルスワクチンをアセアン諸国やインド、アフリカの一部に供与し、着々と地政学的地歩を固めている。権力乱用やフェイクニュースの垂れ流しなど民主主義への冒涜は、米国の威信を地に落とした。

 米国が信頼を取り戻せるかは、誠実な言説と行動にかかっている。