「温故創新」230922 N1297伊波喜一

無駄にせず 自然の恵み 活かす術 人に美味しく 牛に優しく   

 朝から湿度が80%にもなっている。蒸し蒸しするわけである。 

 地球沸騰化と言われる中、ロート製薬は循環型農業の取り組みに手応えを感じている。強力な温室効果ガスとなるメタンは、家畜が主な発生源となっている。

 従来は抗生物質を使ってメタンを減らす方法が、主流だった。が、薬剤に耐性を持つ微生物が生まれる恐れがあり、海外では使用を禁止した国もある。

 ロート製薬は、10年前からこの問題に取り組んできた。石垣島の地元泡盛メーカーと連携し、蒸留後に残る液体状のかすを発酵させて牛に与えてみた。

 その結果、通常の資料で育てた牛に比べて呼気に含まれるメタン濃度が薄まり、発生量が47%も減った。

 かすを含む資料の中に、牛の胃でメタンガスを発生させる菌の働きを抑える成分が入っている可能性がある、と考えられている。

 これまでの常識を破り、自然のものを与えることで、動物にも人にも悪い影響を与えない方法を見つけ出した。ひいてはそれが世界中の牛の飼育に広まっていけば、地球を守ることになる。かすを有効利用出来て、SDGsにも貢献していける。

 10年間も地道に取り組んできた成果が、現れてきたのは本当に嬉しい。地道で質の高い研究に、政府も後押しをお願いしたい。