「温故創新」 200410 N408 伊波喜一

朝夕の 寒暖の差に 戸惑いて 三寒四温 生活の知恵 

昨日の日中は暖かかったが、午後より風が吹き始めた。夕刻よりみるみる空が暗くなり、夜には雨も降り始めた。昼は春物のコートでも汗ばむほどだったが、夕方には冬物のコートが懐かしくなるほどだ。かように、春の陽気は定まらない。 東京はソメイヨシノから八重桜に変わった。蕾から開花の眺めも美しいが、雪のように降り注ぐ桜吹雪も美しい。これでもかこれでもかと、惜しげなく花びらを散らす桜。勿体ないぐらい、贅沢な一瞬の味わいである。桜が日本人にとって特別な木であることが分かろうというものだ。 桜前線は北上を続け5月中頃、北海道北端の厚田町で万朶の花を咲かせる。今年はあいにくコロナウイルスの影響で、大勢で桜を愛でることは出来ない。その分、一人一人でじっくり桜を満喫することが出来る。 知人の父が肺結核の後遺症で、長期入院を余儀なくされていた。感染リスクに加え朝夕の寒暖差が、弱った体には一番こたえる。それでこの時期の桜は、いつも病室から眺めていた。 ある日、娘が桜の小枝を切って花瓶に活けた。木肌に触れ、花の香をかぎ、瑞々しい生命力を感じたのだろう。父親の眼に輝きが戻った。 物言わぬ桜は多くの人を癒し続けている。