「温故創新」200409 N407 伊波喜一

窓からの 眺めのどかに 春の日が 欅の小枝に 若葉萌え出ず

公園の欅の木々から、若葉が顔を覗かせている。高さ10数mはある大木の小枝から、遠慮がちに葉を開き始めている。この小枝は冬の枝落としで残された枝だ。その枝についた葉が、あれよあれよと茂ってゆく。気づくと、あっという間に枝全体が葉で覆いつくされている。まことに若葉の伸びる勢いは清々しい。 自費出版の打ち合わせで、板橋区志村にあるD出版社を訪ねた。中央線から山の手線・都営三田線と乗り換え、志村坂上駅で降りた。すぐ近くには眼下に見次公園があり、子ども達が思い思いに遊んでいる。一昔前までは当たり前の光景だったが、ここのところ影を潜めていた子ども達。コロナウイルスの影響で、公園に子どもの声が戻ってきたようだ。確かに、勉強の遅れは取り戻さなくてはならない。でも遊びを通して学べるのも、今この時しかない。ゲーム機もお金も持たず、へとへとになるまで夢中になって遊ぶ。まさに千載一遇の機会である。 遊びには力の差が冷酷なまでに出る。そこから這い上がるために力をつけ、味方作りに全知全能を傾ける。こういう経験が社会に出て生きる。 生きた知恵をどう身につけていくか。 正答がないゆえに遊びは創造の芽となろう。