「温故創新」200616 N455 伊波喜一

依正不二 人類の知恵 思い出し 広げ過ぎずに 足るを知るこそ       

 窓外の欅の葉が茂っている。ここのところの雨に打たれて、薄緑の若葉が色づき始めた。

 その中を、小鳥たちが賑やかに出入りしている。 

 マスクと手洗い、ソーシャルディスタンスが、社会の常識となってきた。これまでとは、社会通念が変わってしまった感がある。

 こうなってみると、今まで大事にしていたことの意味合いが変わってくる。

 これまでは、社会を円滑にするための飲みニケーションなどを、ある程度優先してきた。なぜなら、人と関わる力は社会に出るための原点となるからだ。 

 ところがコロナ禍を契機に、一人で生活し生き抜く力が求められるようになった。ある意味でこれは、人類の原点回帰ともいえる。 

 樹上で暮らしていた人類は、地上に降りてきた。そうすると、周りと協調して生活せざるを得なくなった。そのことで外向き志向になり、外からの情報を優先したライフスタイルが出来上がってきた。 

 歯止めの効かないイルミネーションのようなその危うさに、コロナはストップをかけた。本当に必要な物と事は何なのか、一度立ち止まって考える機会を得た。 

 外に網を広げるのもよいが、自らのの足元を踏み固めることこそ、今求められているのではないだろうか。