「温故創新」230620 N1224 伊波喜一

貧困の 克服目指す 社会へと 求められるは 倫理革命 

 日中は蒸すものの、朝晩はひんやりとする。ブルーベリーの実もまだ青いが、粒が真珠玉ぐらいになってきた。

 今国会での内閣不信任案が、見送られた。自民も立憲民主も党利党略の駆け引きの具として、衆院解散を口にしていた。何のための誰のための政治なのか、その原点を見失っての議論は焦点がぼけていた。国民の暮らしを置き去りした舌戦には、うんざりである。

 経済は、社会を円滑に動かすための大動脈である。経済が滞ると、社会生活が行き詰まる。利益を中心としたこの社会で重視されるのは、個人や効率といった西洋的価値観である。

 コスパやタイパの考え方は、いかに時間と労力を最小限に抑えて、最大限の効果を生み出すかにかかっている。例えばネット情報は瞬時に多数に伝わり、使い捨てにされている。1時間前の情報はすでに鮮度が落ち、1日前のそれは読み手の記憶にさえ残らない。

 だからこそ、この目まぐるしい情報時代、急速な変化の時代にあって求められるのは、人と人との結びつきや相手への思いやりである。自己の利益のみに執着して利他を考えない生き方は、独善で無慈悲な社会を生み出す。倫理革命(モラルレボリューション)は、そのような世の中を変えていく概念と取り組みである。

 世界が共に生きていくためには、一個人の人間革命と社会全体での倫理革命が不可欠であると、実感している。