「温故創新」230621 N1225 伊波喜一

新任の 増える退職 過去最多 現場に丸投げ 制度欠陥 

 教員採用試験最多の東京では、2年度に新規採用した公立学校新任教諭は2429人にのぼった。その内108人が、年度内に退職した。これは全体の4.4%に当たり、過去最高となった。その4割が、精神的な不調を訴えている。

 これらについて文科省は「増加する不登校への対応など、業務が複雑化・困難化している。さらにベテランが大量退職し、若手への支援が不十分であるため」としている。

 その対策として、全教員向けに心の問題を相談できる態勢を整えるなど、メンタルヘルス対策を強化する自治体に積極的に財政支援する事業を始めた。

 現場は月100時間以上の残業や、支離滅裂な縦割り教科指導に翻弄されている。人手不足の上に時間外労働で、教科指導にも十分に手が回っていない。にも関わらず、文科省は限られた時間と人員の中に、総花的にジェンダーからSDGs、選挙権、租税教育などを現場に盛り込み続けている。 

 今の世の中は、権利主張の時代である。一人ひとりに焦点を当てた教育を、保護者は強く望む。国もそれを後押ししてきた。

 しかし、肝心の現場に教員は足らず、肉体的にも精神的にも追われている。この実情を変えない限り、教育現場の疲弊は止まず、さらに深刻化する。国は教育内容の精選と予算の拡充を、即刻すべきである。