「温故創新」230623 N1226 伊波喜一

軍拡の 声に押されて 見えにくし 米軍基地の 過重負担 

 梅雨明けが近い沖縄に、「慰霊の日」がめぐってきた。コロナ下が明けて、平和記念公園に4000人もの参列者が集った。

 東京から見ると、沖縄の出来事は遠い彼方の様子でしかない。しかし、辺野古への米軍飛行場移設や敵基地攻撃能力ミサイルの配備などは全く理不尽な話であり、民意の軽視である。

 辺野古基地の埋め立て予定海域の大浦海岸は、海底がマヨネーズに例えられるぐらい軟弱な地盤である。普天間飛行場の跡地としては、いかにも不安定な代替地である。

 ここに陸上の岩盤に匹敵する飛行場が出来ると考える方が、不自然である。将来的に何十兆、何百兆になるか分からない莫大な予算を注ぎ込んで、一体どうなるのだろうか。

 最終的な工事の責任者もぼかされていて、決定のプロセスが不透明である。先行きの完成が危ぶまれる中、今後の維持管理まで含めると、決断のいい加減さが浮き彫りとなる。

 元々、大浦湾には天然記念物のジュゴンが棲む。これは長年月をかけて、自然が恵んだ宝ものである。戦禍で苦しみ続けた沖縄への、先祖からの恵みとしか思えない。

 取りも直さず、これは国民の尊い財産でもある。それに勝手に手を加え、見通しも説明も十分になされないとすれば、自然と県民への冒涜であろう。政府には、きつく反省を促したい。