「温故創新」240206 N1387伊波喜一

発がんの PFAS 基地の外に漏れ 便利なはずが 体蝕む 

 深夜まで降り積もっていた雪が止んだ。水気の多い雪が、雨に打たれて溶け始めている。家の周りの雪かきも、半分の時間で済んだ。

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が、日本国内の米軍基地周辺で検出されている。

 PFASは水や油をはじく性質がある。そのため、フライパンや泡消火剤に使われている。ただ、自然界ではほぼ分解されず、環境中や生き物の中に長く残る。そのため、発がん性や様々な健康被害が懸念されている。

 WHOの専門機関である国際がん研究機関(IARC)は昨年、PFASを「発がん性がある可能性」としている。にもかかわらず米軍は、日本政府の基地内立ち入り検査を許可していない。

 日本国内では三沢・横田・厚木・横須賀・普天間・嘉手納基地で、PFASが検出されている。PFASなどの環境汚染に対して、米政府は5年間で90億ドル(1兆3千億円)の予算を講じ、飲料水に含まれるPFASや他の汚染物質を減らす地域を支援している。ドイツやベルギー、韓国でも、同様の措置を取っている。 

 一方日本では、基地のある自治体から抗議を受けて、やっと重い腰をあげている。国は米軍に対して、自然環境や水を守れと強く主張すべきである。地域住民が生存権を脅かされている時に、声を上げられないようでは、政府として失格である。毅然たる対応を望みたい。